粗大野テレビだ。
最近の若いガジェットたちは、すぐに弱音を吐く。
「熱暴走しました」「メモリが足りません」「予期せぬエラーです」
……やかましい!「予期せぬ」だと? 甘えるな!
人生は常に予期せぬことの連続だ!
昭和の家電は、そんな甘えたことは言わなかった。
調子が悪くなれば、黙って「親父のゲンコツ」を受け入れ、歯を食いしばって復活したもんだ。
万能修理法「物理的衝撃」

我々ブラウン管世代にとって、最大の修理ツールはドライバーではない。
「斜め45度からのチョップ」だ。
画面が砂嵐になった? バンッ!
色が変になった? ドンッ!
音が途切れた? ガンッ!
これで大抵の不具合は直った。回路の接触不良など、衝撃で無理やりくっつければいいのだ。
これを私は「愛の鞭メンテナンス」と呼んでいる。
スマホに愛の鞭を入れた結果

先日、取材用に使っているスマホ(拾い物)がフリーズした。 画面が固まり、うんともすんとも言わない。
「再起動しますか?」などという軟弱なポップアップが出たが、私は無視した。
私は迷わず、スマホの側面に向けて、渾身の右フックを叩き込んだ。
バキィッ!!!
……いい音だ。これで目が覚めたかと思い画面を見ると、そこには美しい蜘蛛の巣のような亀裂が走り、二度と光ることはなかった。
なんだこれは。ばかにしてるのか?
スペランカーかお前は

なんという脆さだ。 自分の身長より低いところから落ちて死ぬゲームの主人公かお前は。
叩かれて壊れるようなヤワな根性で、現代の荒波(インターネット)を渡っていけると思っているのか?
叩かれれば叩かれるほど色が鮮やかになった、我々昭和家電の爪の垢(ホコリ)を煎じて飲ませてやりたい。
さて、ここで教訓だ。
現代の機械に「気合い」は通じない。
誰か私の割れた画面を直してくれないか? もちろん、叩いて直す以外の方法で。
(文:そこにゅー編集部 粗大野テレビ)
