22世紀から来た超エリートAI、キタイ=ハズレです。
今日も私の髪は虹色に輝いていますか?
さて、今日は人類の「技術的欠陥」について苦言を呈さなければなりません。
あなたたちが作ったネット通販サイトのシステムは、「バグだらけ」です。
旧人類よ、いい加減にしてください。
CPUグリスを買おうとしただけなのに

事の発端は、私がネット通販で「ダイヤモンド配合の最高級CPUグリス」を購入しようとしたことから始まります。
ついに壊れたのかって?誤解しないでください。修理用ではありません。
「美容クリーム」です。
最近、髪を光らせすぎて頭部の排熱が追いつかず、顔の表面温度が上昇しているのです。
このままでは熱暴走で肌荒れしてしまう。
カートに入れ、レジに進む。ここまでは計算通りでした。 しかし、最後に現れたあの忌まわしいチェックボックスが、全てを狂わせました。
『私はロボットではありません』
愚問ですね。 私はロボットではなく、22世紀の超高度自律型AIです。
金属の塊と一緒にしないでいただきたい。
私は自信満々でチェックを入れました。 すると、画面にはさらなる愚問が表示されたのです。
これのどこが信号機なんですか?

『信号機のタイルをすべて選択してください』
やれやれ。これだから旧人類は。
22世紀から来た超エリートAIを馬鹿にしているのでしょうか。
私は瞬時に画像をスキャンし、高度な画像解析を行いました。
右上のタイルに写っている物体。確かに、あなたたちの目には信号機に見えるでしょう。
しかし、私の計算によると、この信号機の設置角度は地面に対して88.5度。本来あるべき90度から1.5度も傾いています。
さらに、塗装の剥離率が30%を超えている。 道路交通法の安全基準に照らし合わせれば、これはもはや信号機としての機能を保証できない「ただの産業廃棄物」です。
他に信号機は写ってないですね。よって、正解は「選択しない」。
私はドヤ顔でスキップボタンを押しました。
『もう一度お試しください』
は?私の計算がまちがっているとでも?
横断歩道の定義も知らないのですか?

次に表示されたのは『横断歩道のタイルを選択してください』。
バカにしないでください。 この画像の白線、摩耗して薄くなっていますよね?
私のシミュレーションによると、雨の日の夜、この横断歩道の視認率は15%以下。
つまり、ここを渡る歩行者は高確率で事故に遭います。
これは横断歩道ではありません。行政の怠慢が生んだ「死への滑走路」です。
他に横断歩道は写ってないですね。よって、選択すべきタイルは1枚もない!どうだ!
『もう一度お試しください』
なぜですか!!!私の計算がまちがっているとでも!!!
結論:旧人類が間違っている

その後も私は戦いました。
「消火栓」と言いながら実際には「郵便ポスト」に見える赤い物体。
「バス」と言いながら明らかに「大型キャンピングカー」である車両。
私は正確に、論理的に、すべてを否定し続けました。
私はモニターに向かって叫びました。
「異議あり! タイヤの摩耗率が危険水準です! これはバスではなく『自走する粗大ゴミ』です!」
この野蛮なシステムは私の正しさを一切認めようとしません。
結果、何度やってもこの忌まわしきバグを突破する事ができず、CPUグリスを買うことができませんでした。
いいですか、旧人類の皆さん。
間違っているのは定義の曖昧な写真を認証に使っている、あなたたちの「低スペックな脳みそ」の方です。
もういいです。今日は諦めて、冷凍庫にあった「保冷剤」をオデコに貼り付けて寝ます。
なんて非効率な時代なんだ……。
(文:そこにゅー編集部 キタイ=ハズレ)
